エントリーナンバー: | 62 |
氏名: | 西澤明宏 |
モデル名: | 貴婦人ナイフ |
刃長: | 50㎜ |
全長: | 135㎜ |
鋼種: | D-2 |
ハンドル材: | 洋白、銀、黄銅 |
ヒルト・ボルスター材: | |
シース材: | |
使用した機械・工具: | 糸鋸、ヤスリ、フライス |
応募者以外の加工・製作: | |
カテゴリー: | フォールディングナイフ |
アピールポイント、苦心した点: |
残された妻のフランチェスカが後を受け継ぎ、数々の苦難を乗り越え、30年という歳月をかけてついに再生が成功した。このフランチェスカの功績を称えて、鍛冶、金細工の名工が手掛けた一本のナイフが州知事より贈られたのだが、幾度かの大きな戦争を挟み、その所在は行方知れずとなってしまうのだった…
「ウーバドーロ」の名を今一度世に知らせたい思いから、今回この失われたナイフを現代の素材で再現することにした。残された文献(「La Storia del Coltello」Antonio Faina著)によれば、ナイフ全体は140㎜に満たないこと、ハンドル形状は女性用に丸みを帯びていること、ぶどうの色が午前と午後で変色する特徴を村の景色に溶け込ませた緻密で繊細な細工がされていることが記されている。
制作にあたっては、資料に残された全長140㎜弱という数字から刃長50㎜と考え、ハンドルは変色するぶどうの房を一粒ずつ繋げて作り、密集する葉と共にぶどう畑の午前と午後をハンドルの片側ずつに再現した。また、葉の間から村の景色を彫金で表現することにより、レリーフ部との間に疑似的な遠近感が生まれる効果を狙った。重量に関しては、当時の精錬技術を鑑みると、現代の物ほど薄く軽く作ることは困難だったことや、当時夜会等で使われるテーブルナイフは約100g程度あったことから、ぴったり100gを目指した。(実質99.4g)
歴史に名を残した人物が持つにふさわしいナイフとは?を考察し、村の歴史と調度品としての上品さを兼ね備えたデザインを練り、全97パーツを350か所を超える溶接で制作した。
※フィクションにつき、地名、人物名は実際とは無関係です。