『鬼の包丁』/ 藤田守 #18
古より人々に畏れられ、時に敬われてきた存在—「鬼」。
常識や理を超えた異端の象徴として、日本文化の深奥に息づいています。
その鬼が持つに相応しい、重厚かつ長大な刃を――というコンセプトで制作されました。
見るものを圧倒する存在感。
そして持つ者に覚悟を求める、まさに“異形の道具”とも言うべき仕上がりです。
この重みと長さには、ただの威圧感ではなく、静かな風格と神秘性が宿っています。
制作者曰く、「もし、このナイフを手にする方が武道の素養をお持ちであれば――
素振り一閃、風を切る音に耳を澄ませていただきたい」。
鬼という存在に敬意を込めて、そして何より持ち主様の心に寄り添えるよう、藤田氏が全力を込めて丁寧に仕上げました。
1. 仕様
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分類:和風シース・ナイフ
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ブレイド長:297mm
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ブレイド厚:10mm
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全長:441mm
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ナイフ重量:1,073g
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拵え込みナイフ重量:1,455g
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ブレイド材:ヤスキハガネSLD(D-2相当品)
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焼入硬度:HRC62
2. パーツ内容
ハンドル
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材質:スポルデッド・メイプルスタビライズウッド(赤色染色)
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仕上げ:亜麻仁油仕上げ
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ハンドルエンド:すっぽ抜け防止パーツ(真鍮材削り出し、ディンプル加工)
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固定方法:真鍮&モザイクピンのコンビ圧入+装飾ワッシャー
鍔(つば)
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材質:真鍮材(小判型)
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仕様:真鍮ボール嵌め込み、同材ピンで固定、黒染処理+両面に切羽付き
ブレイドの仕上げ
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加工方法:♯3000サンドペーパーによるヘアーライン仕上げ
シースとの嵌合
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方式:寸法差による圧入
ブレイド加工
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方式:10mm鋼材からのテーパー加工
シース(鞘)
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材質・加工:
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朴木地にイタリア製山羊革着せ
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複数回の漆による点描盛り上げ加工
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唐草彫刻付き銀帯板巻
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縁金、鯉口、栗型:真鍮削り出し加工+黒染後磨き仕上げ
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鐺(こじり):真鍮削り出し+リューターによるディンプル加工
実装方法
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装着:ナイフ本体を刃を上にしてウエストベルトに差し込み、栗型で引っ掛けて正絹赤色の下げ緒を掛ける
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結び方:下げ緒尻には茗荷(みょうが)結び
3. 付属品
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ウエストベルト:長短調整不要の多孔タイプ(ベストフィット)
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専用ディスプレイスタンド:
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タモ材+リオグランデバリサンダー材使用
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染色・亜麻仁油仕上げ
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銘板:真鍮板にリューター加工
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保管袋:京都西陣織、吉祥柄、小脇差し用御刀袋