ナイフの保管とメンテナンスについて

大切なナイフを永く愛用、コレクションするために大切な事柄です。
ナイフメーカーとしてオーナーさんに伝えておくべき内容でもありますので、ぜひご一読ください。

シースナイフの保管方法

シースナイフは、シースから出した状態で保管すること」これが最も大切なことです。シースに入れたままナイフケースや棚の引き出しに入れっぱなしにしてしまうと、特に皮のシースの場合はシースの中に含まれる成分(塩分や薬品)や湿気によって、ブレードが錆びてしまったり、ニッケルシルバーや真鍮のヒルトに緑青が浮いてきてしまったりします。せっかくお気に入りのナイフを手に入れても、そうなってしまっては元も子もありません。あくまでシースは「持ち運びの時の携帯用ケース」という認識を持ってください。

実用、コレクションどちらも保管するときは必ずシースから出して保管するようになさってください。具体的には、ナイフ本体をしっかりと洗浄した後キッチンペーパーなどで包んだ状態でナイフケースに保管。その際にシースも一緒に同封するとシースとナイフがバラバラにならず便利です。

また、取り出しするときのケガの予防や大事なナイフのポイントを守るために、ポイントプロテクターもきちんとつけておきましょう。

フォールディングナイフの保管

フォールディングナイフについては、シースがありませんからそのまま保管していただいて結構ですが、忘れがちなのが「手垢」です。ブレードを開閉する際にどうしてもブレードを触ることになりますが、その時の手垢(皮脂)が残っているとそのまま錆びてきてしまう恐れがあるので、きちんと研磨剤の入っていない布(クリーニングクロス)で丁寧に拭くなどしてから保管するようにしましょう。

また、洗浄するときは水洗いは極力避けるようにしてください。内部に水分が浸透し、そこから錆びてしまうことがあります。汚れなどが詰まってしまった場合はミシンオイルとつまようじや綿棒を使って除去するようにしてください。

保管時ブレードに油は塗るのか?

ステンレスのブレードの場合は、実用したものでもきちんと洗浄し、シースと別々に保管するのであれば基本的には何もつけずにそのまま保管してください。長期保管する場合に関しては、うすく防錆油を塗布しておくことも有効です。ただし、CRC(クレ556)のような揮発性の高いオイルは保管用に向かないので使わない方が良いでしょう。

一方で炭素鋼のブレードについては凄くさびやすい為、必ず油を塗布した状態でいることが理想的です。また、海の近くにお住まいの方はステンレスでも油断せずに油を塗布しておくようにしてください。

ただし、どんなに準備していても梅雨など湿気の多い季節は油断をして長期間ほったらかしにするとブレードが錆びてしまうことがあります。一番のメンテナンスはこまめな手入れです。たまにはコレクションのナイフを手に取っておつまみを切るのに使ったり、愛でながら拭き上げてげることがもっとも効果的なメンテナンス方法です。

もしも錆びてしまったら!

どんなに注意していても油断して錆びさせてしまったり、緑青が出てしまったりすることもあります。それはもう仕方のないこと。気づいたらなるべく早く処置するようにしましょう。

もし錆が小さなうちに気づいたのならまだ大丈夫です。
FLITZ(フリッツ・メタルポリッシュ)を使って錆の部分を少しこすってあげれば簡単に元に戻すことができます。

FLITZには研磨剤が入っておらず、大切なナイフを傷つけることがありません。また、多少のサビやくすみ、緑青などはこれを使えばいとも簡単に綺麗に拭き取ることが出来ます。

例えば、こんな緑青が出てしまったナイフでも…FLITZを少し塗布してウエスなどでサッとふきます。

万が一緑青が出てしまっても大丈夫

するとどうでしょう。あっという間に新品同様に早変わりです。

簡単に復活!

もちろん普段からお使いいただければもっと効果があります。新品の光沢が落ちたときにくすみを取るなどの日々のメンテナンスでも大活躍です。FLITZで拭いた後はごくわずかな被膜ができるのでそれによる防錆効果も期待できます。